没後10年 織田廣喜展 パリ-仙川

ファッションショー_1987 ドローイング エッフェルトウ

会期:2022年1月8日(土)-6月26日(日)
開館時間 :11時~18時30分(入館18時まで)
開館日 :木・金・土・日
休館日 :月・火・水
(展示替および館内メンテナンスのため、会期期間外は休館)

入場料:一般 500円/大高生 400円/小中学生 300円
主催:東京アートミュージアム
企画:一般財団法人プラザ財団

[ご来館に際してのお願い]

ご来館の際は、マスクの着用をお願いいたします。
体調がすぐれない場合や発熱のある場合などは、ご来館をおひかえください。

本展について

パリを思わせる風景や女性たちを描いて人気を博した織田廣喜(1914-2012)は、1957年以降、世田谷区上祖師谷を制作と生活の拠点にしていました。徒歩圏内にある調布市仙川は画家のお気に入りの散歩コースで、最晩年まで、東京アートミュージアム近辺にも頻繁に訪れていました。

織田は、1960年以降、パリに何度も向かい、数多くのスケッチを描いています。しかし、スケッチにしろ、それらに基づいた油彩画にしろ、パリの情景をそのまま再現したものではありません。画家の内面のフィルターを通して変換された、織田独自の世界を表わしたものとなっています。そこに登場するのは、現実には、どこにも存在しない場所なのです。そうした彼の絵画はフランスと日本の〈間〉で描かれたものといえるように思われます。

 甘美で華やかな絵画世界とは異なり、織田自身は質素な生活を淡々と営みながら、数多くの作品を生み出していきました。破天荒な芸術家伝説などとは無縁の生き方ですが、逆に、そうした日常の繰り返しこそが、画家としての空想を自由にはばたかせるために不可欠だったのかもしれません。彼にとっての仙川はそうした日常に属する場所です。「パリ-仙川」とは、地図上のふたつの場所を指すだけでなく、絵画世界を構築するために織田の精神が往還したふたつの場所も示す言葉なのです。

 東京アートミュージアムでは、織田の展覧会として、2012年の追悼展、2014年の生誕百年記念展、2017年の没後5年展を開催してきました。没後10年の節目で行う今回の展覧会では、二科展に出品された300号の大作をはじめとする油彩画のほか、未発表のスケッチ類や資料を展示し、織田廣喜の画業を改めて考えたいと思います。

藤井 匡 / 美術評論家、東京造形大学教授

織田 廣喜/ODA Hiroki(1914-2012)

1914福岡県嘉穂郡千手村(現嘉麻市)で出生
1939日本美術学校西洋画科を卒業
1940第27回二科展に<未完成>を出品、初入選
1946二科展再建第1回の第31回二科展に<黒装>を出品、二科賞受賞
1950第35回二科展に<讃歌>を出品、二科会に会員推挙される。
1960初めての渡仏
1968第52回二科展出品作<噴水とマヌカン>が1967年度文部省買い上げ決定
    第53回二科展に<小川の女たち>他を出品、内閣総理大臣賞受賞
1971第56回二科展に<水浴>を出品、東郷青児賞受賞
1980二科会常務理事就任
1992勲4等瑞宝章受章
1995恩賜賞・第51回芸術院賞受賞
    芸術院会員に就任
2003勲3等瑞宝章受章
    フランス芸術文化勲章・シュバリエ受章
2006二科会理事長に就任
2012二科会総会にて名誉理事長に就任
    5月30日 東京都八王子市の病院にて死去 享年98歳
    没後、従四位に追従された