「やわらかくて、かたい」
上原修一 銅版画作品展

ガウディのテーブル、そして椅子/The table & the chair, A tribute to Antoni Gaudi. | 2020年 銅版画 ドライポイント/アクワチント/+コラグラフ/2版3色雁皮刷り | 87 x 62 cm テーブルの上にも下にも私の荷物/My parcels on the table, under the table. | 2019年 銅版画 ドライポイント/アクワチント/+コラグラフ/+コラージュ/2版8色雁皮刷り | 78 x 58 cm 泳ぐ/ swimming. | 2021年 銅版画 エッチング/ディープ・エッチ/アクワチント/+ステンシル/2版3色雁皮刷り | 60 x 90 cm 階段を上る人下りる人/gentlemen going up & down the stairs. | 2022年 銅版画 ドライポイント/アクワチント/スピットバイト/2版2色雁皮刷り | 24 x 16 cm

銅版画は製版と刷りを経て間接的にイメージを表現する行為であるが、そのプロセスにおいて作家の意図・計画から大きく外れた状況にしばしば遭う。ジョセフ・ペネルの「偉大なエッチャーで、かつて腐蝕の技術をマスターした人はいなかった」という言葉が、エッチングのみならず銅版画すべての技法に現在でも当て嵌まる。版・インク・紙は、じゃじゃ馬のように我儘であり且つ魅力に溢れた存在だとしみじみ思う。

私は制作途中のコントロール出来ない「偶然」の状況を受け入れることを厭わない。むしろ、その即興性との協奏を自らの「必然」の技法へと繋げる工夫が楽しく嬉しい。そこに私自身の想像力を遥かに超える新たな「表現」の可能性が朧げながらに見えてくる。

銅が持つ柔らかさと硬さのバランスを介さなければ顕せない「銅版画」の世界を展示いたします。ご高覧賜われましたなら幸甚に存じます。

詳細